@article{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00000129, author = {早野, 圭吾}, issue = {3}, journal = {松本歯学}, month = {Dec}, note = {application/pdf, 歯科用補綴物は大きな咬合力に耐え得る強度が要求され,その材質や形態に様々な検討が加えられて現在に至っているのに対し,インプラント体の強度に関する研究はいまだ十分とは言えず臨床上多くの破折例が報告されている.著者らは,市販チタン製インプラント体の強度について有限要素法による解析を行い,「市販のチタン製インプラント体は,垂直方向の荷重に対しては十分な強度を有しているものの,斜め方向の荷重に対しては弱く,不注意な使用によっては容易に破壊される可能性が存在すること」等を既に報告した.最初に考案されたインプラント体は,全て一体型インプラントであり,強度的には一体型のインプラント体が最も優れている.しかし,このインプラント体は骨との結合が得にくいという問題点があった.この点を解決するためにフィクスチャーとアバットメントに分割された2分割型が開発された.この2分割型はフィクスチャーにアバットメントをネジ込む形態になっているが,アバットメントに加わる回転力によりネジが緩む欠点がある.この欠点を克服するためにアバットメントとネジを分離し,アバットメントが回転しない,またアバットメントの角度が調整できる3分割型が考案され現在の主流となっている.さらにこの3分割型には,インプラント体辺縁骨の吸収や感染を抑える目的から,フィクスチャーを骨辺縁まで挿入し,粘膜下に完全に埋入して骨との結合が計れたのち,粘膜を貫通させる2回法用の形態が開発されている.当然,このような形態の違いはインプラント体の強度に大きな影響を及ぼすと考えられるが,構造と強度の関係を明確に示した報告は無い.そこで,インプラント体の分割数とその強度との関係を明らかにするために,一体型,2分割型,3分割型,4分割型のグレード4純チタンインプラント体について有限要素法を用いて斜め45°方向から荷重した場合の非線形応力解析を行った.その結果,斜め45°方向からの荷重に対しては,分割数が増加するに従い急激に強度が減少し,特に4分割型では咬合力に耐えられないものと考えられた.この解析結果を受けて,3分割型の形態を改良して2回法に適応するインプラント体を設計し解析を行ったところ,実用的な強度を得ることができた.この結果を検証するために,解析と同形態のインプラント体を,JISグレード4チタンを用いて試作し,擬似骨に埋入して荷重試験を行った.その結果,2分割型,3分割型,4分割型はフィクスチャーとアバットメントを固定するネジのネジ切り部で破折したのに対し,一体型と改良3分割型は破折が起こらず,最大荷重,耐力相当荷重ともに解析結果とよく一致していた.しかし荷重試験では,同一構造インプラント体間の荷重一変位曲線にも大きな差が生じていた.試験片を縦断し断面を調べた結果,この差はインプラント体の骨への埋入深さの僅かな違いに起因していることが明らかとなった.上述の結果から,以下の結論に達した.1 インプラント体の強度は分割数の増加に伴い大きく低下するが,JISグレード4チタンであれば3分割までは実用に耐えうる.2 2分割型,3分割型,4分割型のフィクスチャーとアバットメントを固定するネジのネジ切り部最上部には応力が集中する.3 応力集中を避けるようにネジのシャフト部を長く設計した改良3分割型は,荷重試験においても破折が起こらず,有限要素法を用いたインプラント体の設計は極めて有用と考えられた.4 インプラント体は,骨への埋入深さのわずかな違いにより,強度が大きく変化する可能性がある.}, pages = {249--260}, title = {インプラント体の構造と強度に関する研究}, volume = {35}, year = {2009} }