@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002412, author = {Takahashi, Kotaro and 髙橋, 弘太郎}, month = {2015-07-15, 2015-07-15}, note = {2014, 甲第164号, application/pdf, 【背景と目的】動脈硬化症は、西欧諸国および日本での死亡原因の主要なものである。この病因は、血管内皮細胞への慢性刺激に対する炎症、免疫応答であり、血管内壁での脂質沈着(血管内皮細胞内へのコレステロールおよびリン脂質侵入)、炎症性細胞浸潤(マクロファージ、T 細胞)、平滑筋細胞の内膜への遊走と増殖、結合組織の増殖(コラーゲン、グリコサミノグリカン、弾性線維)、カルシウム沈着、および血栓化を特徴とする病変である。一方、歯周病は、一部の特定の細菌を含む口腔内細菌感染に対する免疫応答の結果として、歯周組織において様々なサイトカインや、酵素類が産生され、動脈硬化性病変を悪化させることが報告されている。また、歯周病は、動脈硬化症のリスク因子としても注目されており、システマティックレビューでは、歯周病と動脈硬化症は弱いながらも関連性が認められている。しかし、歯周病からアテローム性動脈硬化症へ至る経路については数多く報告されているものの、詳細は依然不明のままである。そこで、局所の低レベル慢性炎症性疾患としての歯周病の病態を想定して、マウスの歯周組織へのサイトカイン (Interleukin-6: IL-6)注入が、肝蔵で血清アミロイドA (Serum Amyloid A: SAA) を産生上昇させ、血管内皮細胞を刺激し、動脈硬化症の増悪因子として関与する可能性、機序を検討した。【材料と方法】実験には、動脈硬化症易形成性マウスであるアポリポプロテインE 欠損マウス(ApoE-/-)の生後8 週齢の雄24 匹を使用した。動物は、Recombinant Mouse IL-6 投与群 (IL-6 群) と、Phosphate Buffered Saline (PBS) 投与群 (PBS 群) の2 群に分けた。IL-6 群には、0。1% Bovine Serum Albumin (BSA) 含有PBS で希釈したRecombinant Mouse IL-6 (25ng/l) を、PBS 投与群には、0。1% BSA 含有PBS を10l ずつ隔日毎に週3 回、下顎臼歯部頬側歯肉に両側交互に (歯周組織局所では4 日に1回)全身麻酔下にて33G の注射針を用いて投与した。IL-6群では、投与開始後1、2、3、4、5、6、20、21、41、42 (6 週)、62、63、83、84 (12 週) 日後に尾静脈より血液を採取し、ELISA 法にて血清SAA 濃度を測定した。両群ともに投与開始後6、12 週に、各群6 匹ずつ血液採取後に屠殺し、大動脈、下顎骨を摘出した。摘出した大動脈は縦断試料を作製し、Sudan IV 染色により動脈硬化病変部位率を測定した。さらに、大動脈基部では横断薄切切片を作製し、動脈硬化病変部位でのSudan IV 染色、動脈硬化病変部への単球およびT 細胞の組織浸潤に関与する走2化性因子であるMonocyte Chemotactic Protein 1 (MCP1)、SAA 受容体の1つであるToll-like receptor 2 (TLR2) の免疫組織化学染色を施行した。また、下顎骨はCT にて撮影し、IL-6、あるいはPBS 投与部位周辺の歯槽骨吸収を測定、歯周組織炎症程度とした。さらに、血管内皮細胞に対するSAA の作用機序を検討するため、ヒト大動脈血管内皮細胞 (Human Aortic Endothelial Cells: HAECs)を培養、SAAで刺激後、Intercellular Adhesion Molecule 1 (ICAM1)、Vascular Cell Adhesion Molecule 1(VCAM1)、 MCP1の発現をreal-time PCR 法で解析した。【結果】動物は、両群ともに経時的な体重増加がみられ、成長に有意な差は認められなかった。IL-6 群では、投与1 日で血清SAA 濃度が上昇し、その翌日には低下することを繰り返したが、血清SAA濃度は、投与開始前と比較し、有意に上昇した状態を全実験期間中持続していた。また、PBS 群と比較しても、6、12 週ともに有意に上昇した。投与部周囲歯槽骨では、IL-6 群はPBS 群と比較し、6週の第1 臼歯 (M1) 遠心根と第2 臼歯 (M2) 近心根においてセメントエナメル境から歯槽骨頂までの距離が有意に増加し(P < 0。05)、12週においても距離は長く、第1臼歯近心根と第2臼歯近心根の歯根中央部の頬側歯槽骨幅は有意に減少した (P < 0。01)。一方、大動脈における動脈硬化病変部位率は、6週では有意な差は認められなかったが、12 週ではIL-6 群で有意に増加した (P < 0。05)。大動脈基部の免疫組織染色において、IL-6 群では血管内膜のTLR2 の発現が上昇する傾向を認めた。また、PBS 群と比較し、MCP1 の発現が6、12 週ともに増加し、経時的な病変部の増大とともに増加した。さらに、HAECs においては、SAA 刺激によりICAM1、VCAM1、 MCP1 の発現が増加したが、刺激前に抗TLR2 抗体を添加し、TLR2 受容体に結合することにより発現が減少した。【結論】局所の低レベル慢性炎症性疾患である歯周病により産生されるIL-6 が、肝臓を刺激して血中SAA 濃度を上昇させ、血管内皮細胞のSAA 受容体であるTLR2 に結合することにより、ICAM1、VCAM1、MCP1 の発現が上昇し、動脈硬化症が増大する経路の存在が示唆された。}, school = {松本歯科大学}, title = {実験的歯周炎の動脈硬化症への影響}, year = {} }