@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002414, author = {Hondo, Keiko and 本藤, 景子}, month = {2017-05-12, 2015-07-15}, note = {2014, 甲第166号, application/pdf, 【要旨目的】ヒトの正面の顔において,ヒトは目と口唇に視線が集まることが報告されている。そして,不正咬合者の口唇では正常咬合者に比べ上下口唇の形態のバランスが崩れ,矯正治療により改善することから口唇の形態変化が注目されてきた。一方,顎偏位症例の正貌軟組織については静的な口唇の非対称が示されているが,スマイルの対称性および正面顔面形態との関連について明らかにされていない。そこで,本研究では,偏位を伴う骨格性下顎前突患者のスマイル時の口唇の動きの変化を三次元的に調べ,正面顔面形態のバランスとの関連について検討することを目的とした。方法被験者として,松本歯科大学病院矯正歯科を受診した骨格性下顎前突患者11名(平均年齢 21.0±4.7歳,ANB -4.9±2.0°,Me偏位量 3.7±2.6mm,overjet -3.1±2.4mm,overbite +2.5±3.0mm)を対象とした。被験者の顔面の上唇中央,下唇中央,左右口角,左右頬,左右額,鼻尖の9カ所にレトロターゲットを貼付し,頭部固定は行わず安静時とスマイル時の写真をステレオカメラで撮影し,三次元解析ソフトウェアを用いて立体構築した。左右額,鼻尖の3点を基準点とし,これら3点で構成される三角形の平面を基準に用いて頭部の動きを補正した。上唇中央部,下唇中央部,左右口角,左右頬における安静時とスマイル時の動きについて,ステレオ画像計測法を用いて三次元的に解析した。また,正面顔面形態は,正面頭部エックス線規格写真を用いて評価した。統計解析は,スマイル時の軟組織移動量と正面顔面形態の関連をPearsonの相関係数を用いて検討した。【結果と考察】1.被験者の平均的スマイル運動安静時からスマイル時の口唇頬部軟組織の移動方向は,上唇中央部は上後方,偏位方向に,下唇中央部は下後方,偏位方向に移動し,下唇中央部は上唇中央部より有意に後方へ移動した。下顎前突では下唇の方が上唇よりも前方へ突出しているため,スマイル時に口唇をラバーバンド状に被う口輪筋が下唇を後方へ牽引した可能性が推察された。偏位側と非偏位側の頬部は上外側および前方に,偏位側と非偏位側の口角は上外側および後方に移動したが,偏位側と非偏位側で差はみられなかった。これは,本研究の被験者の平均Me偏位量が3.6mmと,あまり大きな偏位を示さなかったため,偏位側と非偏位側の口角部と頬部の動きは,スマイル時に差を示さなかったと推察された。2.スマイル時の軟組織の動きと正面顔面形態の関連1) 上下唇の中央部では,下唇中央部の安静時からスマイル時の垂直的な移動距離は,偏位側と非偏位側の上顎骨および下顎骨の幅の差,下顎骨偏位量と有意な正の相関を示したが,上唇中央部では関連は示さなかった。2) 口角部では,非偏位側口角の安静時からスマイル時の垂直的な移動距離は,下顎骨偏位量と有意な正の相関を示したが,偏位側口角では関連は示さなかった。3) 頬部では,非偏位側頬部の安静時からスマイル時の水平的な移動距離は,偏位側と非偏位側の下顎骨高差と有意な正の相関を示した。非偏位側頬部の安静時からスマイル時の垂直的な移動距離は,下顎骨偏位量と有意な正の相関を示した。一方,偏位側頬部では関連は示さなかった。以上の結果から,非偏位側の口角では上方に移動し,非偏位側頬部では上方と非偏位側に移動することで,スマイル時に口唇の偏位側への移動を補償し,バランスを保とうとしているものと推察された。口角の上方への移動には大頬骨筋が,頬部の水平方向および垂直方向の移動には小頬骨筋と大頬骨筋が関連していることから,これらの筋肉が偏位症例においてスマイル運動時の補償に関連している可能性が推察された。また,非偏位側口角部さらには非偏位側頬部の上方移動量が偏位の増加とともに増加した結果,口唇を囲むラバーバンド全体が非偏位側上方に引っ張られ,下唇中央部の下方への移動量が減少している可能性が推察された。以上の結果より,骨格性下顎前突症では,顎顔面形態の非対称性と安静時からスマイル時の軟組織の変化が関連することが示された。【結論】骨格性下顎前突症では,スマイル時に軟組織の移動と正面顔面形態が関連し,スマイルの非対称を補償する運動が示された。}, school = {松本歯科大学}, title = {骨格性下顎前突者のスマイル時の口唇運動の三次元解析}, year = {} }