@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002419, author = {Chihara, Takahiro and 千原, 隆弘}, month = {2015-07-15, 2015-07-15}, note = {2014, 甲第169号, application/pdf, 【目的】歯科領域においては, 自家骨移植や人工骨による骨再生が行われてきたが, 近年細胞を用いた骨再生治療の実用化が期待されている. これまでの臨床研究から, 骨再生治療の安全性や有効性が示されてきたが, その一方で骨再生のメカニズムには不明な点も多い. 近年, 移植部位における炎症が骨再生を阻害する可能性が報告されている. 実際の細胞による骨再生治療の効果を最大化するためには, 局所の炎症が骨再生に与える影響の詳細を理解する必要がある. そこで, 本研究では免疫正常マウスを用いた骨形成モデルを確立した. さらに, 同マウスモデルに対して抗炎症作用を持つステロイド系抗炎症薬を投与し, その影響についても検討を行った.【材料と方法】マウスの骨髄由来間葉系幹細胞は安定した培養が困難であることから, われわれは皮質骨由来の細胞に着目した. BALB/cAJc1 の大腿骨および脛骨の皮質骨より細胞を採取し, 接着性細胞の培養を行った. この細胞をデキサメタゾン, β グリセロリン酸,アスコルビン酸およびBMP-2 を含む分化誘導培地で培養後, アルカリフォスファターゼ(ALP)活性を測定し, 骨分化を確認した. 次に, 培養細胞を担体であるβ-TCP 顆粒上に播種し, 分化誘導を行った. 得られた細胞-担体複合体(培養骨)を同系マウスの背部皮下へ移植した. 骨形成過程に対するステロイド系抗炎症薬の影響について検討するために, 実験群へは培養骨移植直後に1 回と翌日に2 回ベタメタゾンリン酸エステルナトリウムの腹腔内投与を行った. 対照群へは, 同量の生理食塩水を腹腔内に投与した. 移植3, 7 および28 日目に培養骨を摘出し, HE 染色, TRAP 染色および免疫染色(抗F4/80 抗体, 抗TNF-α 抗体, 抗Sp-7 抗体)により比較検討を行った. また, サンプルの一部は液体窒素中で直ちに凍結し, RNA を抽出後定量的PCR にてTNF-α の遺伝子発現を解析した.【結果】培養された接着性の細胞は, 間葉系幹細胞のマーカーであるCD29, CD105 およびSca-1 を発現していた. 得られた細胞を骨分化誘導培地で培養を行ったところ,ALP 活性が上昇した. さらに,免疫不全マウス(BALB/cAJc1-nu/nu)背部皮下へ移植後に骨形成が認められたことから, 骨芽細胞様の細胞が得られていることを確認した. 経時的に摘出されたサンプルの所見では, 培養骨移植後に炎症性細胞浸潤が認められ, 特に3 日目では対照群において炎症性細胞の浸潤が顕著であった.F4/80 陽性細胞は細胞の有無にかかわらず担体周囲に認められたため, 移植された担体に対するマクロファージの浸潤と考えられた. F4/80 陽性細胞数を面積比で検討2したところ, 培養骨移植7 日目において, 実験群では少ない傾向であったが, それ以降ではステロイド系抗炎症薬投与の有無による差は認められなかった. TNF-α 陽性細胞は, 移植7 日目から担体周囲に見られ, 28 日目にも局在していた. しかしながら, ステロイド系抗炎症薬投与の有無による差は認められなかった. TRAP 染色の結果では, 実験群では7 日目より陽性細胞がわずかに認められ, 28 日にかけて増加した. 一方,対照群では7日目には認められず, 28 日には実験群と同程度の陽性細胞数となっていた. Sp7 陽性細胞は, 実験群, 対照群ともに培養骨移植3 日目から認められ, その後形成された骨周囲で強陽性の細胞が出現した. しかしながら, ステロイド系抗炎症薬投与の有無による分布や発現強度の差は認められなかった.【考察】マウス下腿の皮質骨より得られた細胞は, 骨髄間質細胞と比較して安定した増殖が得られた. また, 間葉系幹細胞マーカーを発現するとともに, 分化誘導によってALP 活性が上昇することから, マウスにおける骨芽細胞の細胞源として有用と考えられた. この細胞を用いることで, 免疫正常マウスを用いた骨形成モデルの作製が可能であった. これまでの研究から, 免疫正常マウスでは, 骨形成過程の初期に起こる炎症性サイトカインの上昇によって骨形成が抑制されることが示唆されている. 培養骨移植の初期には, 移植操作による炎症や移植された担体に対する生体反応として,マクロファージなど炎症性細胞の浸潤が認められた. ステロイド系抗炎症薬の投与によって, 初期の炎症性細胞の浸潤が軽減される可能性が示唆された. しかしながら,炎症性サイトカインであるTNF-α の発現には差を認めず, また28 日以降では実験群と対照群の炎症性細胞浸潤, 破骨細胞や骨芽細胞の分布に差を認めなかった. 以上から, 培養骨移植後短期間のステロイド系抗炎症薬投与は, 培養骨移植に伴う初期の炎症反応の一部を軽減する可能性があることが示唆された. その一方で骨形成への影響は明らかでなく, 今後投与量や投与方法の違いによる影響についても, さらに検討する必要があるものと考えられた.}, school = {松本歯科大学}, title = {培養骨の骨形成過程におけるステロイド系抗炎症薬の影響}, year = {} }