@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002662, author = {NISHIKAWA, YUICHIRO and 西川, 祐一朗}, month = {2017-05-15, 2017-05-15}, note = {2016, 甲第200号, application/pdf, 【緒言】歯科臨床において,特に小児歯科領域では修復の手段として歯髄切断法が行われる.その際には,古くからおこなわれているものとしては,水酸化カルシウムを精製水で練和して直接歯髄の切断面に応用し,同部に「象牙質橋」を形成させるものである.これに関する研究は古くから多く行われている.今回,根管治療後に使用する根管充填材の代表的なものであるヨードホルム加水酸化カルシウム糊材を象牙質・歯髄複合体に応用した動物実験を行い,幾つかの組織反応が観察できた。【材料・方法】マウスの腹腔内にペントバルビタールナトリウム(ソムノペンチル®)を注入し,全身麻酔下にて上顎両側第一臼歯を1/2のラウンドバー(メルファー社製)とトルックスを使用し,側面から露髄穿孔させた。穿孔後,同部からヨードホルム加水酸化カルシウム糊材(Vitapex,ネオ試薬工業株式会社,東京)を注入し,コンポジットレジンで仮封した。その後,処置状態の確認のためにm_CTの撮影を行い,4週間後にm_CTの撮影による観察後,該当部を一塊として摘出し,固定,脱灰後,パラフィン包埋し4 μmの連続切片標本を作製し,病理組織学的に検討した。【結果】ヨードホルム加水酸化カルシウム糊材を直接的に歯髄に応用した象牙質の壁面には2 次象牙質が厚く形成されており,形成された2次象牙質の象牙細管は極めて不規則であった。象牙質橋と言える構造物も少数例確認されていたが,綺麗な『谷渡しの橋』ではなく,谷を埋めたような状態でその最上部に『連続部があるので橋として認識』できる状態で,その直下に 2 次象牙質が厚く形成されていた。また,壊死層は認められなかった。m_CT 画像では,当該部は,象牙質の形成されている根管は不透過像化しており,出来ていない根管は中心部に透過像が確認されるようにみえるものがあった。【考察】今回,根管治療後に使用する根管充填材の代表的なものであるヨードホルム加水酸化カルシウム糊材(Vitapex,ネオ試薬工業株式会社,東京)を象牙質・歯髄複合体に応用したラットを用いた実験を行った。その結果,病理組織学的検討では,まず,穿孔部には挿入された糊材ないしその残渣と考えられる構造物が散見された。しかし,それに対する生活歯髄組織には顕著な壊死はほとんど観察されなかった。これは,この糊材が水溶性の練和物ではなくシリコンオイルによる練和物のため,歯髄組織に直接的なダメージを与えず,水酸化カルシウムの強アルカリ性が緩和され壊死組織を作らなかったためと考えられる。なお,象牙質橋と言える構造物も少数例であるが,確認された。この事は,歯髄に応用した Vitapex 内の水酸化カルシウムの効果であると考えられる。しかし,その場合においても,壊死層の形成は為されていなかったのは極めて興味深い事であった。なお,この場合にも,綺麗な『谷渡しの橋』(象牙質橋)ではなく,谷を埋めたような状態で2 次象牙質が厚く形成されていた。これは,象牙質橋を形成する水酸化カルシウムの一般的な様式ではないので,応用した Vitapexに特徴的な事象で,これがシリコンオイルで練和してあるからだと考えられる。しかし,当該部分の象牙質壁に極めて多量の不規則な象牙質形成がなされ,m_CT画像によって象牙質の形成されている根管は不透過像化しており,出来ていない根管の中心部に透過像が確認されるようにみえ,これは根管の狭窄を意味していたことが分かった。なお,一部では閉鎖しているものもあった。これは,糊材の潜在的に有する強アルカリ性の作用がシリコンオイルよってかなり緩やかなものになっているのであろうが,その象牙芽細胞の活性化によって多量の象牙質を急速に形成させたと考えられる。形成された硬組織(骨様象牙質)の構造について,今回形成されたその大部分では,明確な細管構造のないものがあり,構造内に細胞と思われる構造が封入されているものがあった。これは,歯髄の未分化間葉系細胞から象牙芽細胞に分化するのであろうが,きちんと分化できずに骨様象牙質を形成するに止まり,不規則な構造で,その内部の所々に細胞が封入されたことが分かった。なお,不規則な骨様象牙質が形成されたのは,今回の実験期間1か月と言う極めて短期間に多量の象牙質の形成が起こったことによるものであると考えられる。}, school = {松本歯科大学}, title = {水酸化カルシウム系糊材に対するラットの象牙質・歯髄複合体の反応}, year = {} }