@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002837, author = {Uchikawa, Ryutaro and 内川, 竜太朗}, month = {2019-07-23, 2019-07-23}, note = {2018, 甲第209号, application/pdf, 【背景と目的】近年,我が国は世界でも類をみないスピードで高齢化が進み超高齢社会を迎えた.医療や福祉の視点から考えても,このような社会においては高齢者が健康であることが重要である.そこで,1982年に8020運動が提唱され歯の重要性が検証され始めた.その後,健康増進法が施行され、それに沿った健康日本21(第2次)の目標には「口腔の健康の維持」として各年齢における齲蝕や歯周病の状態等の具体的な数字が挙げられている.自分の歯で咀嚼して食事をする事は,“美味しい食事”“食べる喜び”に直結し,高齢者のQOLの向上に繋がる.今後の歯科界では,高齢になっても多くの歯を残し口腔機能を維持できるような歯科治療および歯を残すための歯科予防における指導方針を確立する事が必要である.そのためには,まず歯を多数残すために必要な要因を認識しておかなければならない.そこで,高齢者における現在歯数を20歯以上保持する要因を口腔内の状態,口腔保健行動,Breslowの生活習慣から調べた.【材料と方法】本研究は2016年から2018年に松本歯科大学病院口腔診療部に来院された65歳以上の57名(男性31名,女26名)を対象に,現在歯数,刺激唾液量(ml/5min),唾液緩衝能(4段階評価),プラーク・コントロール・レコード(PCR),プロービングデプス(PD)の平均,歯周検査時出血率(BI: Bleeding Index),動揺歯率(検査歯数における動揺歯の比率)を調べた.さらに,Breslowの7つの生活習慣(喫煙・運動・飲酒・睡眠時間・体重維持・朝食・間食)とそれらを総合した健康指数(HPI: Health Practice Index)を算出した.また,口腔衛生習慣としてフッ化物の使用状況における質問を実施した.これらの結果を基に,現在歯数と各項目との相関を調べ,年齢,刺激唾液量,唾液緩衝能,PCR,平均PD,BI,動揺歯率,HPI,フッ化物の使用状況を独立変数,現在歯数20歯以上/未満を従属変数としたロジスティック回帰分析を実施し,20歯以上を保持する要因を検討した.【結果】現在歯数と各項目のSpearmanの順位相関係数は,年齢-0.17, 刺激唾液量0.24, 緩衝能0.60,PCR-0.33,平均PD-0.42,BI-0.50,動揺歯率-0.61,HPI0.33,フッ素0.460であった.緩衝能,PCR,平均PD,BI,動揺歯率,HPI,フッ素の使用状況と現在歯数との間に有意な相関を認めたが,年齢および刺激唾液量との間には相関は認められなかった.ロジスティック回帰分析の結果,緩衝能(オッズ比 5.23;95%信頼区間1.43-19.23),動揺歯率(オッズ比0.88;95%信頼区間0.80-0.98),HPI(オッズ比3.07;95%信頼区間1.30-7.25)及びフッ化物の使用(オッズ比2.32;95%信頼区間1.15-4.67)であり,これらの項目と現在歯数を20歯以上有することとの間に有意な関連(p<0.05)を認め,唾液緩衝能,HPI,フッ化物の使用は現歯数を20歯以上保有する要因であり,動揺歯率は20歯未満となるのを促進する要因であることを示した.【結論】本研究より65歳以上において現在歯数を20歯以上保つ要因は,唾液緩衝能が高いこと,歯周組織が安定し動揺歯がないこと,規則正しい生活習慣を保つこと、習慣的にフッ化物を使用することが示された.したがって,高齢になっても現在歯数を多く残すには,20代や30代から唾液検査や歯周基本検査を実施し,歯が喪失する可能性を持つハイリスク者を早期に抽出する必要がある.そして,各個人における危険因子を説明した上で理解していただき,日常生活の中で本人自身でも気をつけていただくことが重要である.医療者側は,緩衝能が低い人には定期検診の短期化を勧め齲蝕の罹患を予防する.また,継続的な歯周治療を推進し,さらに食生活を含む生活習慣の改善を指導するとともに適したフッ化物の使用などの口腔保健指導が必要であると示唆された.}, school = {松本歯科大学}, title = {20歯以上保有している高齢者の要因}, year = {} }