@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002859, author = {Komatsu, Saho and 小松, 佐保}, month = {2019-07-23, 2019-07-23}, note = {2018, 甲第212号, application/pdf, [要旨]破骨細胞は高度に石灰化した骨組織を破壊・吸収する唯一の細胞である.その起源は,生体に広く分布するマクロファージ系の細胞である.そして,骨組織は骨吸収と骨形成のバランスにより調節されている.それらのバランス調節は,互いにあたかも連絡を取り合っているかのようにみえるため,この現象は骨代謝共役(カップリング)と呼ばれている.Immunoreceptor tyrosine-based inhibitory motif (ITIM)は,T細胞やB細胞の受容体と会合する細胞膜アダプター分子の細胞内ドメインに共通してみられるモチーフとして発見された.破骨細胞では,DNAX-activating protein 12 (DAP12)とFc receptor common γ subunit(FcRγ)の発現が高く,これらのダブル欠損マウスは骨吸収不全を呈する大理石骨病を惹起する.最近,DAP12と会合する免疫グロブリンスーパーファミリー分子として,シアル酸受容体タンパク質であるSialic acid-binding immunoglobulin-like lectin 15(Siglec-15)が同定された.Siglec-15は破骨細胞の分化に伴って誘導され,Siglec-15遺伝子欠損マウスは骨吸収が抑制され骨量が増加するが,破骨細胞数はほとんど減少しない.また,骨形成に対しては,骨形態計測の結果から,骨芽細胞数や骨形成速度などの骨形成パラメーターが野生型正常マウスと較べ,ほとんど差が無いと報告されている.この実験結果は,破骨細胞の存在が骨芽細胞の活性を支え,骨吸収と骨形成がカップリングしていることを示唆している.本研究では,ヒト末梢血液由来の破骨細胞の分化と延命に対する抗Siglec-15中和抗体の効果について検討した.健常人ボランティアより採取した末梢血から調製した単球を含む細胞画分からCD14抗体ビーズを用いてCD14陽性細胞を単離した.CD14陽性のヒト単核細胞を,破骨細胞分化因子であるreceptor activator of nuclear factor κB ligand(RANKL)とマクロファージコロニー刺激因子であるmacrophage colony-stimulating factor(M-CSF)の存在下で,7日間培養することによりTRAP陽性のヒト多核破骨細胞が形成された.培養7日目で形成された多核破骨細胞は,RANKLとM-CSFの非存在下で,その後死滅傾向を示すが,抗Siglec-15抗体を添加することにより,濃度依存的および経時的に破骨細胞の延命は阻害された.抗Siglec-15抗体によるヒト破骨細胞の生存延命阻害作用は,オステオプロテゲリン(OPG),RANKL中和抗体またはビスホスホネート(アレンドロネート)処理ではほとんど認められなかった.更に,単離したCD14陽性細胞をRANKLとM-CSFの存在下において,象牙切片上で培養し,破骨細胞が形成された培養7日目にコントロールIgG,抗Siglec-15抗体もしくはビスホスホネート(アレンドロネート)をそれぞれ添加し,象牙切片上での破骨細胞の生存と吸収窩形成を解析した.その結果,抗Siglec-15抗体を添加した群は,象牙切片上のTRAP陽性細胞数が減少し,ヘマトキシリン染色における吸収窩形成も阻害された.また,アレンドロネートを添加した群は,アポトーシスに至っていると考えられるTRAP陽性多核細胞を認め,ヘマトキシリン染色における吸収窩は強く阻害された.一方,RANKLとM-CSFによるヒト破骨細胞の分化過程においては,抗Siglec-15抗体は形成されたTRAP陽性多核細胞数を減少させなかった.以上の実験結果から,抗Siglec-15抗体はヒト末梢血液由来の破骨細胞の分化誘導過程では阻害効果を示さなかったが,多核破骨細胞の延命と骨吸収機能には阻害活性を示した.}, school = {松本歯科大学}, title = {ヒト破骨細胞の生存延命・骨吸収機能に対する抗Siglec-15抗体の効果}, year = {} }