@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002862, author = {Nakayasu, Yoshikazu}, month = {2019-11-27, 2019-11-27}, note = {application/pdf, 2019, 甲第216号, 緒言 歯科口腔領域において,時として外科処置における縫合時に吸収性縫合糸が用いられる.その代表としてグリコール酸/乳酸ポリエステルがある.しかし,その生体組織内での詳細は明らかにされていない.そこで埋入部に増殖する肉芽組織細胞の詳細な消長と細胞供給元を追究するためにGFP骨髄移植ラットの実験系を用いて検討した.材料と方法実験動物にはGFP骨髄移植ラットを用いた.用いた吸収性縫合糸は,グリコール酸/乳酸ポリエステル縫合糸 2 種Vicryl®(以後Vと記す)と,Vicryl rapide®(以後Vrと記す)”である. ラットの背部皮下組織内に縫合糸を束状にして埋入した後,最大6か月後まで病理組織学的に検討した.さらに一部の標本については免疫組織化学的染色(以後IHCと記す)も行った.結果Vicryl® に対する組織反応としては,2週例では,縫合糸は空隙として観察され,周囲にマクロファージ(以後Mφと記す)と異物巨細胞(以後FBGC と記す)が増殖していた.増殖組織の最外層には線維性被膜が形成されていた.1か月後においては,縫合糸の空隙は小さくなり,代わってその部をMφが埋めていた.さらにFBGCは細胞1つの大きさはより大きく,核の数も増加していた.3か月では,Mφの塊があった.6か月でも,増殖した細胞塊が残っていた.IHCではGFPについて,埋入2週の増殖したMφとFBGCはすべてGFP陽性であった.埋入1か月後にはMφともに一部の線維芽細胞がGFP陽性を示した. 3か月後,Mφの残渣はGFPに陽性を示した.6か月においても同様であった.Vicryl rapide® では,2週間後では縫合糸の形状の空隙があり,周囲にはMφが増殖していた.そしてFBGCと線維芽細胞は疎らに認められた.1か月ではMφが泡沫状を呈しており,大小様々な白く抜けた空隙があった.そして線維芽細胞の数は減少しFBGCはほとんどみられなかった.3か月では多少縫合糸に対して増殖した細胞残渣が存在していた.6か月では明確な組織を摘出することができなかった.IHCはGFP については埋入2週の縫合糸の形状の空隙の周囲にあるMφとFBGCはすべてGFP陽性であった. 1か月では泡沫状を呈したMφがGFP陽性を示した.3か月では多少縫合糸に対して増殖した細胞の残渣と考えられる塊がGFPに対して陽性を示した.考察今回の実験において,埋入した吸収性の縫合糸に対して,そのいずれにおいても肉芽組織の増殖があった.しかし,この反応はVにおいて強く現れ,Vrでは極めて弱かった.これはVが生体内で徐々に分解される時に時間が掛かり,少なくとも一部で貪食によって処理される為であることが推察された.一方,Vrは貪食ではなく,その初期から加水分解によって低分子化され生体内で溶解し,吸収によって処理されるからであろう.VとVrは同じ化学構造かつ糸の立体的構造であるにも関わらず吸収速度が異なる.これは両者で滅菌過程が異なっているためだと考えられる.Vはガス滅菌であるのに対してVrは放射線滅菌が施されている.放射線を照射されることにより縫合糸が分解されやすくなり,その結果吸収速度が速くなっていると推測される.GFPについてIHCに検討した結果,縫合糸を埋入した部位に増殖した肉芽組織の細胞はほぼすべてGFP陽性であった.そして肉芽組織内には,極めて少量の線維芽細胞と膠原線維が介在しており,その線維芽細胞の一部はGFP陽性だったが,大半は陰性であった.これらの細胞は短期間に多量に増殖したので,その場での分裂・増殖だけでなく,骨髄から供給されていることが明らかとなった.結論今回の実験においてVとVrのいずれにおいてもMφ主体の組織増殖があった.この反応はVの方が強く現われ,Vrでは弱かった.これはVとVrの滅菌方法が異なり,Vrは滅菌過程において放射線を照射されるため分解・吸収されやすいためである.そしていずれにおいても発現した肉芽組織のMφとFBGC,さらに一部の線維芽細胞はGFPに対して陽性を示したことから骨髄から供給されていることが明確となった.}, school = {松本歯科大学}, title = {吸収性縫合糸Vicryl® とVicryl rapide® に対する ラット皮下組織反応の比較検討}, year = {} }