@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002932, author = {Nakane, Takashi and 中根, 隆}, month = {2020-12-14, 2020-12-14}, note = {2020, 甲第232号, application/pdf, 【目的】外科的矯正治療後の骨格性下顎前突者におけるスマイル時の軟組織の動きは,外科的矯正治療後に口角の外上方への移動量が増加することが報告されている.また,下顎骨偏位を伴う骨格性下顎前突者では,口唇閉鎖時とスマイル時の口唇の位置の非対称性が改善し,偏位側と非偏位側の口唇の表面積の非対称が改善することが示されている.しかしながら,偏位を伴う骨格性下顎前突者の外科的矯正治療後のスマイル時の口唇と頰部の垂直,水平,前後の動きの3次元的変化の詳細は明らかにされていない.そこで,本研究では、偏位を伴う下顎前突者の外科的矯正治療前後のスマイル時の口唇と頬部の動きをステレオカメラで三次元的に解析し,個性正常咬合者群と比較した.【資料及び方法】被験者は,松本歯科大学病院矯正歯科を受診し,外科的矯正治療の適応と診断された偏位を伴う下顎前突を呈する顎変形症患者(以下,偏位下前群)で保定が1年終了した8名(初診時平均年齢 21.7±6.6歳,男性2名,女性6名)を対象とした.対象群として個性正常咬合者8名(以下,正常群:平均年齢27.0±1.7歳,平均ANB3.0±1.2°男性2名,女性6名)を対象とした.スマイルの計測にはPosed smileを用い,上下口唇中央部,左右口角,左右頬部の軟組織の安静時からスマイル時への3次元の移動様相についてステレオ写真を用いて三次元的に評価した.また,側面頭部エックス線規格写真と正面頭部エックス線規格写真を計測して外科的矯正治療前後の形態変化を解析した.【結果および考察】治療前の偏位下前群の口唇では,非偏位側口角の上方移動量が偏位側に比べ,有意に大きい値を示し,偏位側が非偏位側よりもより外方に移動した.また,下唇中央部も有意差は示さないものの上唇中央部よりも大きい後方移動量を示した.これは,偏位症例の口角は偏位側が非偏位側より上方にある15)ため,本藤らが考察しているように非偏位側口角が偏位側口角よりも上方へ移動することで,スマイル時に軟組織の非対称を補償し,前後方向では下顎骨突出にあわせて下唇の方が上唇よりも前方へ突出しているため,口唇をラバーバンド状に被う口輪筋が下唇を後方へ牽引していると考えられた.治療後の偏位下前群の口唇では,非偏位側口角の外方移動量の増加と偏位側口角の垂直移動量の増加により,偏位側と非偏位側口角の3方向の非対称性は改善し,対称なスマイルを示した.このスマイル運動の対称性の改善は,手術による上下顎骨の水平的非対称性の改善によるスマイル運動に関与する筋肉の付着部の非対称性の改善に伴うものと考えられた.また,偏位側と非偏位側の口角部の水平方向と垂直方向の口角の移動量の増加がともに増加した.この要因は,治療後の下顎骨の後方移動と垂直的下顔面高の減少により,口唇のまわりの軟組織に余裕が生じ,スマイル時にラバーバンド状の口輪筋を牽引する大頬骨筋が牽引しやすくなり,非偏位側口角の水平方向と偏位側口角の垂直方向の移動量が増加したことによると推察された.頬部では,治療前後ともに偏位側と非偏位側で非対称例は見られず,治療前は正常群との差は見られなかったが,治療後,非偏位側頬部の前方移動量が有意に増加し,偏位側頬部も有意差は無いが増加した.これは,本研究で下顎骨が後退した結果,硬組織に対する顔面軟組織の量が増えたため,スマイル時に偏位側と非偏位側の頬部が,より前方に移動した可能性が考えられた.正常咬合者と偏位下前群の治療前と治療後の比較では,治療前の非偏位側口角水平距離と偏位側口角前後距離が有意に小さい値を示した.治療後は,非偏位側口角水平距離は増加して,正常咬合者と差は無くなったが,偏位側と非偏位側の口角前後距離は,ともに有意に小さい値を示した.また,下唇中央部前後距離も治療後,正常咬合者に比べ有意に小さい値を示した.これは,下顎骨の後退により下顎骨の前後的奥行きが減少したのに対し,軟組織の容量は変化しないことから,偏位側と非偏位側の口角および下唇中央部の後方移動量が減少した可能性が考えられた.以上,本研究から,外科的矯正治療により偏位を伴う骨格性下顎前突者の非対称なスマイルの改善が示された.}, school = {松本歯科大学}, title = {下顎骨偏位を伴う骨格性下顎前突者の外科的矯正治療前後におけるスマイル時の軟組織運動}, year = {} }