@phdthesis{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00002959, author = {Innami, Minoru and 印南, 稔}, month = {2021-05-20, 2021-05-20}, note = {2020, 甲第236号, application/pdf, [背景と目的]超高齢社会を迎えた我が国は、医療費および社会保障費の増加が著しい問題になっている。それと同時に認知症患者数も年々増加し、2025 年には 700 万人に達し、 介護や看護をする側の負担が非常に大きくなると予想される。一方で、口腔機能 が全身の健康維持に関与しており、脳を活性化させることが報告されてから、歯 数の維持が重要視され、現在歯数が多いほど脳機能は低下しにくいことが明確に された。従って、高齢者の認知機能を維持するためにも、適切な口腔機能の保持 が重要であると考えられる。しかし、認知機能に対する口腔機能訓練の効果に関 しては未だ不明な点が多い。そこで、口腔機能と認知機能の関連性を明らかにし、さらに口腔機能の1つである舌口唇運動の機能訓練が認知機能に与える影響を調 べた。【対象と方法】 研究対象者 100 名(65-100 歳)に①口腔内検査(現在歯数、義歯の使用の有無)、 ②認知機能検査(Mini-Mental State Examination:MMSE)、③咬合力検査(オク ルーザー)、④咀嚼機能検査(キシリトール咀嚼チェックガム:5 段階評価)、⑤ 舌口唇運動機能検査(オーラルディアドコキネシス:ODK)を実施し、認知機能と 口腔機能の関連を Spearman の順位相関係数を用いた単相関と重回帰分析で調べ た。MMSE は、正常、軽度認知障害、軽度認知症、中等度認知症、重度認知症の5 段階で評価した。ODK は、1秒間に発音できた「パ」「タ」「カ」の 3 語の平均回 数を健口くんⓇ(Takei, Co, Japan)を使用して算出した。さらに、MMSE の判定 から正常者(non-impairment group:N 群)5 名、それ以外から(impairment group: I 群)10 名を選び、舌口唇運動機能訓練(食前にパ、タ、カの各語の連呼(5 秒 間)を 3 回)を 15 ヶ月間実施させた。訓練開始から 3 カ月毎 15 ヶ月まで②-⑤ を行い、訓練前と訓練後を Friedman 検定と Dunnett-T3 test(等分散でない場合 も使用可能)を用いて比較検討し、訓練が認知機能に与える影響を調べた。 【結果】 初回の MMSE の判定では、正常:33 名、軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI):25 名、軽度認知症:11 名、中等度認知症:27 名、重度認知症:4 名であっ た。MMSE の点数との関連を調べるために最初に行った単相関においては、MMSE と年齢、現在歯数、咀嚼機能、ODK との間に相関関係が認められた。さらに、年 齢と現在歯数、咀嚼機能、ODK、現在歯数と咬合力、咀嚼機能、ODK、咬合力と咀 嚼機能、ODK、咀嚼機能と ODK の間に相関が認められた。MMSE を従属変数とした 重回帰分析から、MMSE は年齢、ODK の順に関連があった。N 群の中の 2 名の 3、6 ヵ月後の MMSE の点数は、MCI に該当する点数であったが、訓練 9 ヶ月以降は正常 範囲を維持した。I 群の 10 名のうち 2 名が入院したため、15 ヶ月の経過を追えた3 のは 8 名であった。この 8 名の訓練開始後 15ヶ月の MMSE の点数は、訓練前と訓 練開始後 3 ヶ月に比較して有意に上昇した。咬合力は両群において各測定時での 有意差は認められなかった。咀嚼機能において、N 群での訓練開始 15 ヶ月後は訓 練前より有意に高値を示した。I 群では、各測定時に有意差は認められなかった。 ODK において、N 群の訓練開始後 15 ヶ月は訓練前や訓練開始後 3 ヶ月よりも有意 に上昇した。I 群では、訓練開始9ヶ月以降の ODK は、訓練前に比較して有意に 上昇した。また、訓練開始 15 ヶ月後の ODK は、3,6 ヶ月後より上昇した。【結論】 MMSE の点数は、年齢、現在歯数、咀嚼機能、ODK と相関が認められ、年齢、ODK の順に関連が認められた。これらの結果から、加齢とともに認知機能は低下し、 舌口唇機能も衰えると考えられた。また、初回の MMSE で認知機能に低下があると 判定された全員の認知機能は、舌口唇運動機能訓練 15 ヵ月後に改善された。さら に、訓練の継続で ODK も増加した。しかしながら、咬合力と咀嚼機能には変化が 認められなかったため、咬合力と咀嚼力を向上させるには、別の訓練が必要だと 考えられた。今回の研究で、高齢者の認知機能は一定ではなく、環境や身体の状 態に左右されることもわかった。舌口唇運動機訓練を継続する事により、舌筋や 口輪筋が鍛えられ口腔の動きも円滑となり、そこからの感覚や運動刺激が脳に伝 えられることで、認知機能が改善したと示唆された。}, school = {松本歯科大学}, title = {The relationship between oral function and cognitive function-Effect of tongue and lip motor training for cognitive function in elderly people-}, year = {} }