@article{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00000389, author = {平, 晃一}, issue = {1}, journal = {松本歯学}, month = {Apr}, note = {application/pdf, 歯科治療において口腔内に様々な金属を使用することはガルバニック腐食を誘発するため望ましくない.しかし治療上やむを得なく使用しなければならない症例が多く存在する.特にインプラント治療時には上部構造体に,インプラント体と異なった金属を使用する頻度が高い.インプラント体には生体親和性および耐食性に優れ,骨とオッセオインテグレーションするチタンおよびチタン合金が使用されている.よってインプラントの上部構造体も同種の金属であるチタンおよびチタン合金が望ましいが,チタンは融点が高いうえに埋没材と反応しやすく良好な機械的性質や適合性が得がたい.またCAD/CAMを用いた作製方法もあるが,現時点では設定の煩雑さや計測精度などの問題があり,普及には至っていない.したがって臨床ではチタンインプラントの上部構造体には鋳造精度の良好な貴金属合金が使用されることが多い.チタンと異種金属である貴金属合金が口腔内で接触した場合,電気化学的に卑であるTiの溶出量が多くなることは知られており,チタンインプラント体の上部構造体に貴金属合金を使用した動物実験では,生体内に埋入したインプラント体の周囲の顎骨からTiの溶出が確認されている.また人体に対するチタンによるアレルギーは少ないと言われてきたが,ここ数年の報告ではアレルギー症例がいくつか報告されている.さらに近年のインプラントは複数のパーツによって構成され,その構造上,隙間が多く腐食しやすい環境にあるとも考えられる.チタンは容易に酸化するため,その表層には常に酸化膜(不動態皮膜)が存在し耐食性を良くしている.したがって酸化膜の厚みを増大させる処理を行えば耐食性も向上すると考えられる.チタンに酸化膜を獲得させる方法として,過酸化水素処理や加熱処理,陽極酸化処理などが報告されており,これらはいずれも簡便に行える.本実験では各種処理方法にてチタンに対し表面処理を行い,酸化膜の状態と耐食性の関係および,チタンインプラント体に上部構造体を装着した状態での元素の溶出量を測定し,異種金属接合との組み合わせに対して最も電気化学的に安定した条件について検討した.チタンは厚さ1mmの圧延材を幅・長さ10mmに切断したものを試験片とした.浸漬試験に用いたチタンは直径4mmの棒材を長さ17mm,6°のテーパーに施盤加工し,これをインプラント体とした.上部構造体に使用したチタンは直径6mmの棒材を施盤加工し作製した.貴金属合金は通報に従いワックスアップを行い鋳造により作製後,最終研磨を行った.各種試験片の表面処理は未処理と,34.6%の過酸化水素にそれぞれ10,30,60および120分間の浸漬処理した条件,大気中600℃の電気炉内で30分間大気中での加熱処理した条件,陽極酸化発色装置を用いて8Vを負荷し陽極酸化処理した条件とし実験に用いた.分光色測定の結果,処理した試験片とASに対する色差はAOXが最も大きかった.X線回折の結果,処理した試験片からはTiとTiO_2が検出され,H600はルチルを多く含む酸化膜であった.グロー放電発光分析の結果,酸素の拡散はH600が最も大きかった.分光エリプソメトリイ測定の結果,酸化膜の厚みはH600が最も大きかった.自然電極電位はAOXが最も高くプラスの電位であり,それ以外はマイナスの電位であった.腐食電位は,H600が最も大きかった.不動態化電位および不動態化電位での電流密度はP30が最も小さかった.不動態保持電流密度はAOXが最も小さかった.1%乳酸水溶液に浸漬後のTiの溶出量は,H600が最も少なかった.上部構造体からの成分元素の溶出量は,合金本来の耐食性に依存しており,表面処理に対する影響は認められなかった.}, pages = {64--76}, title = {チタン製インプラントに絶縁効果を獲得する表面処理方法}, volume = {34}, year = {2008} }