@article{oai:mdu.repo.nii.ac.jp:00000406, author = {藤崎, 昇}, issue = {3}, journal = {松本歯学}, month = {Dec}, note = {application/pdf, [目的]関節リウマチ(rheumatoid arthritis: RA)は罹患者のActivity of Daily Living (ADL)やQuality of Life (QOL)を著しく侵害する疾患である.しかし,RAは発症要因が複雑であるうえに経過が長い疾患であり,患者各々において発生の初期からその経過をたどることは極めて困難である.また,RA患者の成人と小児ともに症例の約50%が,顎関節部(TMJ)にまで病変が及んでいるといわれているが,他の四肢関節に比してRAに罹患したTMJの経時的変化を追った報告は極めて少ないのが現状である.そこで顎関節のRA発症機構と経過,進行抑制要因をより詳細に検討するために,RAモデルとしては病因,免疫学的基本原理が最も解析されているコラーゲン誘発性関節炎(CIA)ラットを作製し,膝関節と顎関節を組織学的に比較,観察した.[材料と方法]実験にはメスの6週齢Lewisラットを用いた.0.3%ウシ関節由来タイプIIコラーゲンとFreund's Adjuvant Incompleteを1:1の割合で混和,エマルジョンを作製し,ラット背部および後頭部に皮内投与した.初回に1ml,一週間後に0.5mlのエマルジョンを初回と同部位に接種して感作した.なお,2過例のラットには2回目の感作後1週間目に1回,4週例のラットには2回目の感作後1週毎に3回の追加接種を行なった.その後1,2,4週間目にデジタルカメラおよびmicro CTによる撮影を行い,4%パラフォルムアルデヒド液を含む固定液を用いて灌流固定し,膝および顎関節部を採取した.パラフィン包埋した試料から厚さ5μmの連続切片を作製し,組織学的評価を行った.免疫組織化学的手法および酵素組織化学的手法として,軟骨基質の検出には抗Type IIコラーゲン抗体,マクロファージのマーカーとして抗CD68抗体,破骨細胞のマーカーには抗力テプシンK抗体および酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)染色を用いて検索した.[結果]1.感作後1週目において四肢に軽度の発赤と腫脹がみられ,micro CTによる観察では膝関節軟骨表面に僅かな粗造化が認められた.組織学的には,まず滑膜の増殖が起こり,続いて軟骨表面に滑膜の異常な増殖により発生した炎症性肉芽組織であるパンヌスの浸潤がみられた.また増殖滑膜中にはCD 68陽性細胞を示すマクロファージが多数認められた.一方,顎関節部ではmicro CTによる観察および組織学的評価において変化は確認できなかった.2.感作後2週目では四肢の発赤と腫脹は増加し,後肢を引きずる歩行障害がみられた.膝関節の組織学的評価では,増殖滑膜によるパンヌスが関節軟骨から骨髄側へ浸潤し,軟骨基質の連続性が絶たれていた.しかし顎関節ではコントロール群との差は認められなかった.3.感作後4週目でのmicro CTの所見において,関節頭の粗造化と破壊が明瞭に認められた.膝関節における骨破壊は進行し,関節頭は著しく変形した.また骨破壊部位にはTRAP,カテプシンKおよびCD 68陽性を示す破骨細胞が多数出現した.顎関節では滑膜内にCD 68陽性マクロファージの出現がみられるものの,滑膜の肥厚や骨破壊は観察されなかった.[結論]TRAP染色および免疫組織化学的染色により,RAモデルラットの膝関節の破壊過程は,初期では滑膜の増殖とマクロファージ浸潤に始まり,次いで破骨細胞の分化,活性化が亢進して関節破壊が進行することが示唆された.顎関節では初期変化がなく,4週日に関節軟骨移行部位であるbare areaにマクロファージが出現した.しかし,軟骨層の破壊や破骨細胞の出現は観察されず,病態の重篤化は認められなかった.顎関節では関節円板や線維層が存在するという構造的な違いに加えて,荷重の負担などの違いにより,膝関節に比してRA様病変の発症率が低いと考えられた.本実験により,CIAラットは軽微な顎関節のRA様病変が誘発されていることが明らかとなり,顎関節のRAモデルとして有用であることが示された.}, pages = {278--291}, title = {Rheumatoid Arthritis (RA)モデルラットにおける膝関節および顎関節の組織学的評価}, volume = {34}, year = {2008} }